
ペテン師
TeaTime
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2014.10/11
改装完了
2014.10/16
学戦MainPC版設置完了
「赤い髪したお兄さんが居ると思うからソイツに渡してネ。とりあえず先に報酬渡しておくよォ、色々と大変でしょ?」
「…報酬…って…はっ?!10万!?」
その指定された場所に時間通りに付き、その赤髪のお兄さんとやらにこの白い封筒を渡すだけで10万だと…?!
「ピサちゃん、これは流石に入れすぎ…こんなの交通費と食費代とかくれれば全然いいのに…」
「10万なんて安いほうだよォ、それは依頼というよりも個人の用事。…どんな事が起きても責任は取れないからって意味で10万。いいでショ?」
交通費もそこから出てるからさァ。と笑うピサロ。
もう安いの基準がわからないです。
つまりは用事自体は簡単で安いが、それに伴うリスクが発生するということか。その場所に付くまでに殺されても、責任は負わない。自己責任というわけだ。確かにそれでは10万は安いのかもしれないが…
お金を持つ手が震える。当然と言えば当然か、一気にこんなお金なんて貰ってピサロさんでいう簡単な仕事を任されて困惑するのも仕方がない。
指定場所は大阪だった。
私はその紙と封筒を忘れぬように、鞄の中に入れて再度場所を確認する。
…大丈夫かな…。
私は実は方向音痴。重度とは言わないものの、複雑な区域や行ったことのない地域には本当に疎く、よく道を間違える。この殺戮街に迷い込んでしまったのがいい例だろう。慣れない道を通ってしまったのが運の尽きだった。
「とりあえず待ち合わせ相手にもキミの情報伝えておくよォ。赤髪で背の高い変なお面頭につけてるからすぐわかるとは思うケド」
変なお面…?
よくわからないが相当異質な人らしい。ピサロさんの知り合いはそんな人多そうだな…実際にピサロさんも相当異質な存在で、一度見たら生涯忘れないような濃い印象を持っている。
先ほど私の自宅に向かったメイドさんからピサロさんに連絡が来たらしく、動物たちは無事だそうだ。ペットホテルに預けていた動物たちもどうやら家に連れ帰ってくれたらしく、とんだ迷惑を掛けてしまった。
今度メイドさんに何か美味しいお菓子でも用意しておこう。
「ピサちゃんはこれから何するの?」
「ボク?ボクは少し仕事やってから夜の依頼に出掛けるヨ」
どうやら夜に依頼が来ているらしく、もう深夜近いのにこれから出掛けるらしい。きっとランクSの仕事なんだろうなと思うと、やっぱりこんなに余裕な態度でいられるピサロさんはそういう仕事に慣れてるんだなあと実感する。
ここは殺戮街。裏社会とはまた違った、極悪人たちが集う場所だ。どうやら裏社会の有名なヤクザでさえ、殺戮街を知るものは少ないという。もしかしたら社会というものに隣接はしないのかもしれない。この街だけ異次元にあるような…特殊な場所だ。
犯罪を犯すものというのは、殺してみたい…やつい衝動で殺してしまった…、殺すつもりはなかった…などの犯行理由が多いが、ピサロさんは首を横に振った。
「そんな甘っちょろい理由で殺しだなんて舐めてるよねェ。自主するとかお間抜けサン」
舐めてるとかそういう以前の問題だ。
彼らは殺しのプロであるわけで、それが仕事。一部は趣味としてはあるが、基本は自分がこの世界で生き残るために仕事をしている。この世界に入ってしまったら最後。元には戻れない…そんな人達が集う場所。
「わりと常識人多いよォ。蛇穴とかボクは別として~あひゃひゃ」
稀にこういう類の異常者が居るらしいが、案外殺戮街は常識人は多いのか…意外すぎて何も言えない。というかピサロさん自分がおかしいって自覚してるんだ!
「ち、ちなみに今日のお仕事はどんなのなの…?」
「興味あるの~?」
「そ、そりゃ…知らなくてもいいこともあるだろうけど…気になるよね!」
「あひゃひゃ、知らない方がいいんじゃない?この世界に踏み込んでしまったのは事実だけど、そこで足を止めておいた方がきっとキミの為になるヨ」
これ以上、キミはこの世界に干渉しない方がいい。とピサロは薄く微笑みながらも冷静な表情で忠告をした。
冷静な表情というのは初めて見た。それほどまでにこの世界は危険だということだ。私の自分勝手な関心だけで行動すればきっと死んでしまうのだろう。
「あァ、でもキミにお仕事あげちゃったし干渉はしちゃってるかァ~!」
笑いながら、死んでもいいならご勝手にどうぞ。などと無責任な事を口走るピサロさんに私は乾いた笑いを漏らした。
結局自己責任!!
そんな死ぬほどのバイトをやらせようとしてんのこの人!?
「その待ち合わせというのは…死んだりしないよね…?」
「どうだろうねェ、運が悪ければ…頭パァーン?」
「何それ!!?」
だって責任は負わないよって言ったじゃ~んとお気楽に答えるピサロ。そんな度合いの危険さだとは思わなかったよ。普通そう思うだろう。
「だいじょーぶ、相手には凛ちゃんに危険が及ぶことがあったら助けるようにとは伝えておいたからさァ!あーソイツの衝撃に巻き込まれて怪我させちゃったらごめんねェ」
「そんなにガード強いの!?」
ピサロさんの知り合い凄いなあ…。と驚きを通り越して感心した。
とりあえず、今日はこのまま私は寝室をお借りして大人しく寝ることになった。元々遅くまで起きれない体質だし…。
その間にピサロさんはお仕事に直行。どうやら帰ってくるのは早朝辺りだとか。朝食は遠慮したけど、無理に食べて行きなヨと押し負けて、お言葉に甘えて頂くことにした。なんかピサロさんが段々面倒見がいい近所のおばさんに見えてきて困惑した。
「し、寝室デカっ!?ベッドも…!こんなの借りていいの…?」
「こんなのと言われても全部こんなのしか無いヨ?地べたで寝たいのなら止めないケド」
なんだろうこのベッド、キングサイズかな…いや…でもそれよりも大きいような…。
そんなベッドしか無いというのだから大人しくこれで寝かせてもらおう…わあ、ふかふか。
「こんなに大きいので寝るの初めてかも…爆睡出来そう」
いや、家の布団でも爆睡してるんだけどね。
ピサロさんは、それはよかったと笑い、仕事に行く支度をして再び寝室に訪れて「それじゃあ行ってきまァす。おやすみ、凛ちゃん」と言うに、家を出て行った。
窓はホテルのようにガラス張りで綺麗な夜景がベッドに寝転がっていても伺えた。この街こんなに綺麗だったんだな…と静寂する空間でただ外を眺める私。
確かにこの街に来たとき、どこかの遊園地かな…?と言うくらいにメルヘンチックな町並みだった。それがまさか犯罪者の街だなんて誰が思うだろうか。逆にメルヘンチックなところが不気味さを演出している。
何故こんな町並みなのかは知らないが、いつまでもこんなところに居たら本当に頭がおかしくなってしまいそうだ。
それに、ピサロさんは一体何者なのだろうか…わからない。教えてくれそうな雰囲気でもなかったし、聞いても話を反らしそうだ。只者ではないことだけはわかるのだが。
「明日…バイト頑張ろ」
明日些かバイトとは思えない配達仕事をやってからにしよう。しばらく様子見だ。
この街のこともよく知らないし、無知のまま自分勝手に行動するのは危険だろう。何せ、犯罪者の街と呼ばれる場所なのだから。
ふかふかのベッドのせいか、瞼が自然と重くなる。…眠い。
私はそのまま、深い眠りへと落ちた。
翌日、私は余程疲れていたのか8時まで爆睡していた。確か大阪の集合時間は16時だったはず…!
私は急いでベッドから起き上がると、シーツをきちんと畳み、ピサロさんが居るであろうリビングへと向かう。
「ピサちゃん…おはよう…ん?」
リビングへと入れば、ピサロさんは居なかった。まだ仕事なのかな…。
どうすればいいものかと立ち尽くしていると、後ろからメイドさんがやってきて朝食の準備が出来ていると教えてくれた。ああ、そう言えば朝食までご馳走してくれるんだっけ…。
ピサロさんにもメイドさんにも迷惑掛けっぱなしだなあ…と罪悪感を感じた。
「あの、ピサロさんは…?」
「ご主人様でしたら、寝室でお休みになられていますよ。あの方はいつも10時くらいでないと起床なされないので…」
どうやらピサロさんは私と同じ爆睡型らしく、決まった時間でなければ起きないらしい。ちなみに、低血圧ではないそうだ。呼びかければすぐ起きるとのこと。寝起きはいいらしい。なんか面白い人だな。
起こしてきてはいかがですか?とメイドさんはクスクスと笑っていたが、ピサロさんも大分疲れてるみたいだし、起こすのはやめておこうかなと思う。
別に大阪はそんなに遠くないし、パパッと行ってパパッと戻ってこよう…。ん…?待てよ…
「この街から1人でどう出るんだ…?」
殺人鬼たちが多く潜むこの街を抜けださなければいけないのではないかと今更になって気付く。確か、TWILIGHTからそう遠く離れていなかったはずだし、ここは殺戮街エリアに入っているだろう。それに前通ってきた抜け道の周りには危ない人達がたくさん居たし、大阪に行く前にこの殺戮街からどう出るかがまず問題ではないのか…?
ピサロさんの手を借りるか…?いや、でもこれは私に任されたお仕事なのだからそれをくれた本人に手伝ってもらうわけにはいかない…。
どうしたものか…と悩んでいると、メイドさんが手に何かを持って私のところまでやってきては、それを差し出した。
「これは…?」
「仮面でございます。殺戮街にいらっしゃる間はこの仮面をつけておけばご心配する必要はないかと」
ああ、確かに変なゴロツキみたいなのとピサロさんとか蛇穴さんとか以外は仮面をつけていたかもしれない。きっと蛇穴さんもレベル5なんだろうな…だからあんなに周りからも恐れられていたのだろう。ピサロさんが唐突に現れてTWILIGHTの人たちそれよりも何倍もビビっていたけど、レベルとしてはピサロさんの方が上か…。
「それと…セキュリティがあるとか…聞いたんですけど」
「ええ、通常…この殺戮街に入るのには通過許可パスポートが必要です」
今まで殺戮街が政府や警察にバレていないのもこのセキュリティのお陰だという。それにこの街に来るまでにはかなり道が入り組んでおり、一般人はほぼ通らないし警察だってわからないような複雑区域だ。怪しいと思うことすらない。
そんな場所に正面からではなく、まさかの抜け道から迷い込んでしまった私はある意味奇跡なのだろう。自分でも何故あんな道を通ったのかわからない。
「凛燕様は抜け道をご存知だとご主人様から伺いました。ですので、パスポートは不必要かと」
「ですよねー」
まあ、普通そうか。
朝食を取った後、玄関までご丁寧にメイドさんにご案内された私はメイドさんにお礼を言って、仮面を付けては、外へと飛び出した。
さて、願いとしては死にませんようにとお祈りしておいた方がいいかな?と重い足取りながらも軽い思考で抜け道へと向かった。